不妊と加齢、体内時計

アンチエイジングの視点からみた不妊治療

30歳を過ぎると自然妊娠の確率が下がる、様々な要因がいわれる中で、体内時計(生活リズム)と妊娠率の関連に焦点をあてた研究報告です。

体内時計は性周期を含め身体の多様な生理機能を最適なタイミングで発揮するよう準備し生体の環境適応を図っていますが、マウスの実験で 1950年初頭にすでに 一日の”時間情報”の重要性が記述されており、排卵を起こすLHサージを誘発する神経性シグナルが奏効するには1日の時刻に限定された”時間窓”が存在が知られています。この体内時計に短縮や延長の操作が加わると、妊娠適齢期では性周期を維持し正常な妊娠と出産が可能、ところが中年期では性周期不整を示しほとんどが不妊を呈しました。ただこの中年期のマウスの環境明暗サイクル(暗期に活発に動き明期に休息・睡眠をする習性なので)を調節すると、中年の野生マウスと同等の7割まで妊娠率が回復しました。

これらの実験結果は、環境と体内時計とのズレが不妊症の一因となりうる事、体内時計機能の加齢が性周期不整と密接にかかわる事を意味し体内時計のアンチエイジングが不妊症の解消に繋がる可能性を示唆しています。

性周期不整がある方のみならず、特に30歳をすぎて、夜間勤務のある方、時差のある国への海外出張のある方、平日と週末の生活リズムに大きな差がある方など(週末は夜間まで起きている、起きるのがお昼過ぎなど)今一度ご自身の生活リズムを見直してみるのも効果的ではないかと思います。

参考文献:日本抗加齢医学会雑誌

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